麻痺発症のメカニズム(Bell麻痺とHunt症候群)

Bell麻痺とHunt症候群は、ともにウイルス感染を原因として顔面神経麻痺を発症します。ウイルス感染が麻痺まで引き起こす理由は、顔面神経の通るルートに関係しています。

ヒトの体では、ウイルスなど病原微生物に感染すると炎症が起こります。炎症が起きた部位は、一般に言うと「腫れる」という状態になりますが、この腫れた組織では、細胞内部の水分量が増えて体積が増します。

ここで、顔面神経のルートを思い出して下さい。頭蓋骨のトンネルの中を顔面神経が通過していました。骨のトンネルは神経が通るのに十分な太さではありますが、ウイルス感染により炎症を起こして「腫れた」神経が通るには細く窮屈です。よって、腫れた神経は骨のトンネルにより締め付けられ血流が途絶えます。

神経の中には微細な血管があります。神経の中にある血管は、神経線維の末端まで血液を還流させることで、栄養を送り届けたり酸素と二酸化炭素のガス交換をおこなったりしています。神経の血流が途絶えると、神経の栄養供給やガス効果が途絶え、十分な機能を発揮できなくなり、場合によっては神経線維が変性・死滅してしまうこともあります。

顔面神経麻痺の発症メカニズムをまとめると、

顔面神経にウイルスが感染する → 神経に炎症が起こる → 神経が腫れる → 骨のトンネルによって神経が締め付けられる → 血流が途絶える → 神経が機能を発揮できず顔面神経麻痺

ということです。

【参考文献】
日本顔面神経研究会 編.顔面神経麻痺診療の手引-Bell麻痺とHunt症候群-.金原出版

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