40点法(柳原法)は、麻痺の程度を把握し、治癒までの期間を推測できる評価方法

顔面神経麻痺がどのくらいなのかを数値で把握する方法として、40点法(柳原法)があります。

この方法では、顔面の表情10項目について「ほぼ正常=4点」「部分麻痺=2点」「高度麻痺=0点」の3段階で評価します。合計40点満点のうち、10点以上を不全麻痺、8点以下を完全麻痺とします。

40点法では、点数と回復期間の関係が以下のように分かっています。

20点以上・・・1~2ヶ月で治癒。無治療でも経過良好な場合が多い。
10~18点・・・多くの場合、発症1ヶ月以内に改善傾向を認め、3~4ヶ月で治癒。
8点以下(完全麻痺)・・・2~3ヶ月は改善せず、治癒したとしても回復に4ヶ月以上が必要。

40点法による評価は点数が高ければ軽症で予後良好、点数が低いと重症で回復に時間がかかることがわかります。

顔面神経麻痺の予後、つまり「後遺症が残るかどうか」に関して、一般に麻痺の程度が軽度(40点法で10点以上)であれば予後良好、重い場合(40点法で8点以下)は予後不良と、ある程度の予後判定は可能です。

しかし、完全麻痺の中にも予後良好例があり、40点法は重症例の予後判定には適していません。完全麻痺の予後をより正確に判定するには、次に説明する電気刺激を用いた検査が必須です。

電気刺激を用いた検査法で、重症例の回復速度や後遺症の出やすさを判断する

40点法で完全麻痺と判定される重症例では40点法の評価が予後を正確に反映しないため、電気刺激を用いた検査を使ってより正確な予後の判定を行います。

ヒトの体の神経は、(ざっくり言えば)電線と同じように電気を伝導して働いています。この性質を利用した検査法が、電気刺激を用いる検査です。

麻痺が回復する早さを推測するためには、Waller(ワーラー)変性という神経変性の有無を把握します。Waller変性に至ると神経の電気的興奮性が失われるため、電気刺激に対する反応が不良であれば「変性あり→回復に時間を要する」と判定し、電気刺激に良好な反応を示す場合は「変性なし→速やかに回復する」と判定できます。

また、後遺症が残るか否かは、神経障害分類の2度と3度で大きく異なります。よって、2度と3度の境目が分かればよいのですが、今のところ方法がありません。

現状では、電気刺激に対する反応が悪いほど「3度の障害を引き起こしている神経線維が多い」としています。

つまり、電気刺激に対する反応が悪いほど、病的共同運動などの後遺症が残りやすいと判定しているということです。

電気激を用いた検査法は、NET(神経興奮性検査)、MST(最大刺激検査)、ENoG(Electroneurography)の3種類が多く用いられています。顔面神経麻痺では、発症後に神経変性が完成するまで7~10日間程度の時間を要します。神経が変性しつつある途中では正確な判断ができないため、発症7~10日以降に検査する必要があります。

 

【参考文献】
日本顔面神経研究会 編.顔面神経麻痺診療の手引-Bell麻痺とHunt症候群-.金原出版

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