アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎に対して、鍼灸治療はある程度の効果が分かっています。鍼灸は西洋医学の治療とは働きかける仕組みが異なるので、西洋医学で思うように効果が上がらない方でも鍼灸治療の効果が期待できます。

1.当院で行うアトピー性皮膚炎の鍼灸治療

当院の治療を説明します。

治療の頻度・回数・期間

週1回の治療を20~30回以上(5ヵ月弱~)継続します。「週1回」は効果を得るために最低限必要な頻度です。また、症状が悪化している際は、治療頻度を増やして対応する場合もあります。

ほとんどの場合で20回以上は継続しなければ効果は表れないと考えています。治療の初期に効果が表れなくても、治療回数を重ねていくことで効果が出てくる割合は増えていきます。

治療の目標

鍼灸によるアトピー性皮膚炎治療の目標は、第一に「症状の緩和」です。症状が緩和されたら「良い状態の維持」が次の目標になります。「良い状態の維持」は月1回程度のメンテナンス治療で維持できるのが理想です。

治療効果が得られて「月1回程度のメンテナンス」で良好な状態を維持できるようになるまでには、多くの場合、数ヵ月間かかります。また、その状態に至るまでの期間には、個人差があります。

鍼灸治療の方法

鍼と灸を使用

  • 当院のアトピー性皮膚炎治療では、ほとんどの場合で鍼と灸を併用します。

灸の種類

灸にはいくつか種類があります。熱いのが平気な方もいれば苦手な方もいるので、個々の感じ方に応じて我慢しないで耐えられる熱さの灸を選びます。

透熱灸:

ファーストチョイスは透熱灸です。アトピー性皮膚炎の改善にはこのタイプが最適と考えています。ただし、皮膚に直接的に火が触れるタイプですので、患者さんの熱への感受性をみながら、また燃焼温度を調節しながら行います。耐えられない熱さを無理に我慢させることはありませんのでご安心ください。

温筒灸:

上記の透熱灸が難しい方は温筒灸を使います。温筒灸は台座や筒の上でもぐさが燃焼するタイプの灸で、皮膚に直接火は触れません。皮膚へ伝わる熱は輻射熱や伝導熱であるため熱感は穏やかで「熱い」と感じる一歩手前くらいです。慣れるととても気持ちいいくらいの熱さです。

治療の部位

治療で鍼や灸を行う部位は、通常の治療と同じように、上肢・下肢・腹部・首・背~腰にあるツボを使います。皮疹や痒みなどの症状の周囲に、鍼や灸を加える場合もあります。

 

2.アトピー性皮膚炎に対する鍼灸の効果

アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療の論文を紹介しながら、アトピー性皮膚炎に対する鍼灸の効果を説明します。

鍼灸治療はアトピー性皮膚炎に対して、皮膚所見・痒み・血中好酸球数・血中IgE値の4つの指標により効果が確認されています。この効果は「成人型アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療の臨床的研究」(2003年,明治鍼灸大学 老年医学教室 江川雅人)という論文でまとめられています。

このセクションでは、論文の内容を紹介しながら鍼灸のアトピー性皮膚に対する効果を説明します。なお、この論文についてもっと詳しく読みたい方は別ページで少し詳しく書いていますのでご覧ください。

※対象者45例、治療回数は平均24.0回±23.3回、期間は平均2.6±9.9か月間の治療をまとめた結果です。

効果①皮膚所見の改善

治療回数10回未満~30回以上の症例45例の皮膚所見の変化を集計すると、鍼灸治療の皮膚所見への有効率は77.8%と出ています。

皮膚所見の効果と痒みの効果の関係性を見ると、皮膚所見の改善が高いほうが痒み改善が大きいことが分かっています。

効果②痒みの軽減

治療回数10回未満~30回以上の症例45例の痒みの変化を集計すると、鍼灸治療の痒みへの有効率は51.5%と出ています。

また、治療回数が増す毎に、痒みの軽減が得られる割合が増加します。

効果③血中好酸球数の低下

好酸球について:
好酸球は、アレルギーにおける遅延反応の炎症で働く免疫細胞です。アトピー性皮膚炎が重症であるほど血中好酸球数が高くなり、値が低下すればアトピー性皮膚炎の炎症が軽減したと考えられます。

鍼灸治療による血中好酸球数の低下:
鍼灸治療20回以上で血中好酸球数が有意に低下しました。治療30回以上で70.0%が低下、治療1年後では80.0%が低下となりました。
つまり、治療30回および1年後では70~80%においてアレルギー疾患としての炎症が軽減したと考えられます。

効果④血中IgEの低下

IgEについて:
IgEはアレルギーで働く抗体のことです。アトピー性皮膚炎が重いほどIgEが高くなり、IgEが低下すればアトピー性皮膚炎の重症度が軽減したといえます。

鍼灸治療による血中IgEの低下:
IgE値の低下は、治療30回では70.0%、治療1年後では60.0%の症例で認められました。さらに皮膚所見や掻痒感が大きく改善した例では、IgEの低下が80~90%以上の症例で低下しました。
つまり、症状改善とIgE低下の両方がみられた症例においては、アレルギー疾患としての重症度が軽減したと考えられます。

効果①~④のまとめ

鍼灸治療により皮膚症状や痒みという症状が軽減されると同時に、好酸球数やIgEというアレルギー疾患の重症度を示す値の低下も認められました。加えて、皮膚所見や掻痒感が大きく改善した症例ほど、血中IgE値の低下する割合が大きいことも分かっています。よって、これらの改善した症例に関しては、鍼灸治療によりアレルギー疾患としての重症度が軽減したことが示されたといえます。

なお、このページでは出来るだけ分かりやすいように効果①~④を端折って書きました。「アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療の効果」でもう少し詳しく書いていますので、詳しく知りたい方はご覧ください。

参考文献
・江川雅人.成人型アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療の臨床的研究.明治鍼灸医学.2003:35-49

3.鍼灸でアトピー性皮膚炎が改善する理由

鍼灸がアトピー性皮膚炎に効くメカニズムについて、現在分かっていることを解説します。

鍼による皮膚バリア機能の改善

皮膚バリア機能の低下は、アトピー性皮膚炎の重要なファクターとして見られています。バリア機能が低下することで体内に異物が侵入しやすくなり、その異物に対してアレルギー反応が起こるからです。

鍼によって皮膚バリア機能が改善したという実験結果があります。1つは10分間の置鍼により24時間後に皮膚バリア機能が回復したという結果です。もう一つは週1回、10分間の置鍼を12週間繰り返すと季節的な皮膚バリア機能の低下(=冬季の肌荒れなど)が抑えられ、さらに皮膚への物理的ストレスに対する抵抗性が増すことが分かっています。

参考文献
・江川雅人.成人型アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療の臨床的研究.明治鍼灸医学.2003:35-49
・加川大地,他.皮膚と鍼灸―鍼灸医学における皮膚とは何か、皮膚症状に対する鍼灸治療の有効性から考える―.全日本鍼灸学会雑誌.2009年第59巻4号,334-352

灸による免疫細胞およびサイトカインへの作用

灸がアレルギー疾患で働く(=悪さをする)免疫細胞等(Th2、IgE)の働きを抑え、さらにアレルギー反応の結果引き起こされる皮膚の血管拡張も抑えられることが分かっています。

参考文献
・江川雅人.成人型アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療の臨床的研究.明治鍼灸医学.2003:35-49
・東家一雄.基礎研究の立場から見た灸の治療効果に関する一考察.鍼灸OSAKA.25(3):59-64.2009

 

なお、「2.アトピー性皮膚炎に対する鍼灸の効果」と「3.鍼灸でアトピー性皮膚炎が改善する理由」については、別ページを設けて少し詳しく解説しています。

アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療の効果

アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療の治効機序

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