顎関節症は、顎関節の痛みや動きの異常を主な症状とする疾患です。その中には、咀嚼筋・関節包や靱帯・関節円板の障害や、変形性関節症などさまざまな病態が含まれます。また、10代後半から20代の女性に多くみられる疾患です。

症状

  • 顎の症状:口が開かない・顎が痛い・口を開けると音がする
  • 耳の症状:耳の痛み・耳閉感・難聴
  • その他:めまい・眼精疲労・頭痛・首肩のコリなど 様々な症状

分類

咀嚼筋の障害が主である「筋性」と、顎関節障害が主である「関節性」の大きく二つに大別されます。また、日本顎関節学会によるⅠ~Ⅴ型の分類もあります。

Ⅰ型 咀嚼筋障害を主徴候とし、その病理は筋緊張と筋スパズム、筋炎である。顎関節部の運動痛と運動障害をわずかに生じることがあり、筋痛を強く生ずる。
Ⅱ型 関節包、関節靱帯、円板後部組織の慢性外傷性病変を主徴候とし、顎関節部の運動痛と圧痛を強く生じ、関節雑音を生ずる。筋痛は弱い。関節鏡下で病変を認める。
Ⅲ型 関節円板の転移や変性、尖孔、線維化を主徴候とする。クリッキングと呼ばれる関節雑音が顕著である。筋痛はなく、顎関節部の疼痛は弱い。Ⅲ型a:復位性関節円板転位:関節円板の位置関係が復位する時に関節雑音(クリック音)が確認出来る。
Ⅲ型b:非復位性関節円板転位:関節円板の位置が復位しない。ひっかかりのための開口障害や顎関節の疼痛がおこる。
Ⅳ型 変形性関節症。関節軟骨の破壊、下顎窩や下顎頭の骨吸収や変性・添加、関節円板や滑膜の変形異常などの退行性病変を主徴候とし、クレピタス音と呼ばれる関節雑音が顕著である。X腺所見上も大きな異常を認めるようになる。
Ⅴ型 Ⅰ~Ⅳ型のいずれにも該当しないが、顎関節領域に異常症状を訴える、心身医学的な要素を含むもの。

治療

  • 投薬:消炎鎮痛薬・筋弛緩薬など
  • マウスピースの装着
  • 理学療法:冷温罨法・電気刺激・超音波
  • 外科療法(変形が著しい場合に実施)

顎関節症の鍼灸治療

  • 顎関節症の鍼灸治療の目的:
    「顎関節の開閉に関わる筋肉の過緊張を和らげること」「関節の運動をスムーズにすること」の2点により、痛みの軽減と関節の機能回復を図ります。
  • 治療の際使うツボ:
    「下顎から側頭部にかけての咬む運動に関係する筋肉が分布する部位のツボ」「顎関節の場所にあるツボ」ほかに「腕のツボ」も使います。
  • 周辺症状・関連症状に対して:
    顎関節症により、口が開かない、顎が痛いという症状があるときには、首や肩の筋肉も凝っていて不快感があります。また、食事の際によく咬めずに丸呑みして胃に負担がかかって胃の疲れによる不快感・背中のコリなどがみられる場合もあります。そういう周辺症状も併せて治療可能なのが鍼灸治療の特徴です。
  • 病院の治療と併せて:
    また、病院で投薬等の治療を受けている場合も、鍼灸治療を併行しておこなえます。マウスピースなどで物理的な負担を軽減することや、激しい痛みを痛み止めで抑制することも大切ですので、既に治療を受けている方は継続したまま併せて鍼灸治療を行なうことをお勧めします。