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鍼という漢字|まずは読み方から
鍼という漢字は、「針」の旧字体です。日本で「鍼」と書いた場合は「はり治療」か「鍼治療の道具」を意味します。
【鍼】
鎌田正・米山寅太郎(1994)『新版 漢語林』大修館書店
字義 ①はり(はり) (ア)縫い針 (イ)医療用の針 ②さす。針をさす。 ③いましめ=箴
国家資格|資格は他の医療従事者と同等です
- 鍼灸治療を行うには国家資格が必要です。「はり師」と「きゅう師」で別々の資格となっています。
- 国家資格を取得するには、専門学校か大学で専門的な知識・技能を学んで卒業し、国家試験を受けて合格する必要があります。

はり師ときゅう師は、資格は別々のものですが、学校では「鍼灸科」や「鍼灸師科」となっていて、鍼と灸の両方を勉強し、国家試験も同じ時間内に行います。
はり師ときゅう師の資格は、両方を持っている場合がほとんどです。また、鍼と灸は治療で一緒に用いることが多いことから、「鍼灸治療」「鍼灸師」というように、鍼と灸はセットで呼ぶことが定着しています。読み方は「しんきゅう」です。
歴史|鍼灸の歴史は古い
鍼の歴史|6世紀に日本へ伝来
中国
「砭石(へんせき)」という 中国最古の原始医療器具があります。これが鍼の最も古い原始的形態と考えられています。 使われ始めた年代はわかっていませんが、紀元前の書物には砭石について記述があります。
日本
日本には、562年の智聡の渡来で鍼治療が伝わりました。701年に制定された「大宝律令」の中の「医疾令」には、内科医、外科医等とともに鍼医が養成されていたことが記されています。
灸の歴史

灸の起源は、人類が火を利用し始めた時代、冷え痛む部位を火で温めたり、適度に焼かれた石を患部に当てて治療したことが始まりと考えられています。
現在、灸で用いられている艾(もぐさ)は、ヨモギを原料として加工したものです。
紀元前2~1世紀にまとめられた中国最古の医学書の一つである「黄帝内経」や、儒学者孟子(紀元前372年‐紀元前289年)の書には「艾」の記述があることから、この時代には既に灸の材料として艾が定着していたと考えられます。
なお、鍼灸の歴史については、東京有明医療大学 鍼灸の歴史に詳しく書かれています。
現在の日本での活用例|スポーツ、リハビリ、美容など
現在の日本では、様々な分野で鍼治療が活用されています。
- スポーツ分野では、アスリートの怪我の回復やコンディショニングとして活用され、スポーツトレーナーとして、専門的にアスリートの治療を行っている鍼灸師も多くいます。
- また、リハビリ分野で活用されている例もあります。
- 近年、健康的な美に対するニーズの高まりとともに、美容鍼灸が多くの治療院で行われています。
海外での普及度|実は欧米で広く活用されている
多くの方が鍼灸について、日本、中国、韓国などの東アジアのみで行われている「世界的にはローカルな医療」と考えていますが、実は欧米諸国でも広く活用されています。

- アメリカでは、医師および州に認定された鍼灸師が治療を行うことができ、一部の民間保険では鍼灸治療の費用の一部を給付対象としています。
- フランスでは、全国の病院の約60%で鍼治療が行われており、医師による鍼治療は保険給付の対象となっています。
- ドイツでは、医師、助産師のほか、ハイルプラクティカーという代替医療全般を行う資格者に鍼灸の施術が認められ、限定的に公的保険も給付されています。
なお、海外での普及度については、一般社団法人鍼灸医療普及機構に詳しく書かれています。
参考文献
- 尾崎昭弘(2003)『図解 鍼灸臨床手技マニュアル』医歯薬出版
- 東洋療法学校協会編(2006)『医療概論』中川米造監修 ,医歯薬出版
- 川喜田健司・矢野忠(2014)『鍼灸臨床最新科学-メカニズムとエビデンス』医歯薬出版
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