鍼灸院の調べ方・探し方

針灸院をネットで探すとき、どう探せばよいか困っていませんか?
15年間鍼灸院のウェブサイトを作成・運営してきた経験を持ち、他院のウェブサイトにも助言する鍼灸師が、ネットでの鍼灸院探しのコツをお伝えします。
前半では、調べるときによく使われるツール(検索、サイト、アプリ等)とその特徴・利用のコツについて、後半では、調べる目的別にポイントと注意事項を解説します。
「針灸院にはじめて行くために調べる」というとき、今はほとんどの方がスマホを利用しています。スマホで調べるツールを取り上げて解説します。なお、パソコンを使ってネットで調べる場合も、参考にできる内容です。
針灸院を調べるときに使うツール
- Google検索
- Googleマップ
- ポータルサイト
- 業界団体のウェブサイト
これら4つについてご説明します。
Google検索

Googleは、スマホで調べものをする際に、最も多く使われている検索エンジンです。
「針灸院」と検索すると、近くの針灸院や、ポータルサイト(治療院検索サイト)が一覧で現れます。
「針灸院 五十肩」など、症状を加えて入力すれば、悩んでいる症状に対応できる鍼灸院を探せます。
遠方の針灸院が検索結果に表れる場合もありますが、「郡山市」などの地名を加えると、地域に合わせて結果を表示してくれます。
最近のGoogleは、規模の大きな(スタッフが多く、ベッド数が多い)院を上位表示することが多くなっています。規模の大きな院は、ほとんどが鍼灸接骨院というタイプの治療院です。
Googleマップ
近くの針灸院を探すときに、Googleマップは便利です。

- 今日開いているか、休みか
- 何時まで開いているか
- ウェブサイトへのリンク
- 電話のリンク(タップで電話を掛けられる)
- ネット予約へのリンク
- 口コミ
治療院側で正しい情報を登録している場合、これらの内容が表示されます。
ギックリ腰など急いで施術を受けたいとき、料金など細かい点を確認せずに、「今日これから治療できますか?」という方が時々いらっしゃいます。
急いでいる方が、Googleマップをみて予約電話を直接かけているようです。
ポータルサイト
ポータルサイトはお店などの情報を整理して紹介しているウェブサイトです。アプリ版のものもあります。
Googleで「針灸院」「針灸 郡山市」などと検索すると、ポータルサイトも検索結果に表示されます。
鍼灸院を調べる際に便利なポータルサイト・アプリは、「エキテン」「ホットペッパービューティー」「しんきゅうコンパス」の3つでしょう。
- 治療院名
- 所在地
- 連絡先
- メニューと料金
- 診療曜日、時間、お休み
- 予約の空き情報
- 口コミ
- クーポン
ポータルサイトでは、このような情報を整理して表示しています。口コミや治療院利用でポイントが付くサイトもあります。
ポータルサイトのメリット
針灸院を調べるとき、便利なポータルサイトはいくつかありますが、共通のメリットは「比較機能」「検索機能」「口コミ」「分かりやすさ」の4つです
- 比較機能:同一形式で並んでおり、複数の治療院を比較できる
- 検索機能:希望の条件で検索できる
- 口コミ:口コミが多く、参考にできる
- 分かりやすさ:文章・内容が整っていてわかりやすい
ポータルサイトのデメリット
ポータルサイトにはデメリットもあります。
- 十分な情報が示されているのは、有料登録の治療院のみ
- 治療院独自の情報発信に制限があり、治療院の本音が分かりにくい。
全ての治療院を網羅しているように見えますが、十分な情報を揃えているのは、有料登録している治療院だけです。くまなく探したいときは、ポータルサイトの外に範囲を広げた方がいいです。
また、治療院側で発信できる内容が限られ、本音が分かりにくいというのもデメリットでしょう。
業界団体のウェブサイト|鍼灸師しか知らない特殊な調べ方
ポータルサイトを使用していない鍼灸院、ウェブサイトを長期間放置している鍼灸院もあります。
ウェブサイトは正しい方法で常に手を入れていないと、Google検索で順位が下がったり、表示されにくくなったりします。こういう鍼灸院を探し出すのは難しいです。
業界団体のウェブサイトを使うと、そのような鍼灸院が見つかるかもしれません。
代表的な針灸の業界団体を3つご紹介します。
- 公益社団法人 日本鍼灸師会
- 公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会
- 一般社団法人全国鍼灸マッサージ協会
公益社団法人日本鍼灸師会
日本鍼灸師会は、私が所属している団体です。「鍼灸ネット」という素朴なポータルサイトも運営しており、ここから鍼灸院を探せます。
また、各都道府県には日本鍼灸師会の地方団体があり、所属会員のウェブサイトを紹介している場合があります。
地方団体である福島県鍼灸師会では、下記ページから福島県内にある会員の針灸院を紹介しています。
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会
全日本鍼灸マッサージ師会の場合も、都道府県単位で下部組織的な団体があります。都道府県の鍼灸マッサージ師会で、会員の針灸院を紹介してる場合があります。
こちらは福島県鍼灸あん摩マッサージ師会の会員紹介ページです。
一般社団法人 全国鍼灸マッサージ協会
こちらも鍼灸師の業界団体の一つです。ウェブサイトに地図表示で会員の針灸院を紹介しています。会員数に地域差があるのか、福島県は1件も表示されません。東京では結構多く紹介されています。
針灸院を探すときの目的別のポイント
鍼灸院を探すときの目的は、それぞれ異なります。
「今の症状を治療できる鍼灸院がいい」
「施術1回あたり〇千円くらいまでの針灸院を探したい」
「近くに針灸院はある?」
目的によってコツや注意点が異なるので、解説します。
- 今の症状に対応できる針灸院か?
- 料金は?
- 近くの針灸院は?
- 事前に情報をみて、納得した上で選びたい。
- 施術者の腕前は?
今の症状に対応できる針灸院か?
腰痛、肩こり、関節痛、神経痛など、一般人の方々でも「これはハリが良いかも」と思いつくような症状の場合、ポータルサイト・アプリで検索するのが早くて便利です。
しんきゅうコンパスは症状別で検索できる
「この症状はハリで治療できる?」と一般の方が効果を知らない症状の場合、ポータルサイトで情報提供しているのは「しんきゅうコンパス」のみです。しんきゅうコンパスは鍼灸の守備範囲を概ね網羅しています。
※ただし、しんきゅうコンパスで詳細な情報を記載していない治療院もあります。
マイナーな症状になるほど、しんきゅうコンパスの情報でも十分ではなく、針灸+対象エリア名+症状名などで検索して、個々のウェブサイトにあたった方がいいでしょう。
「○○専門」という探し方はおすすめしない
電話のお問い合わせで、
「先生は○○のご専門ですか?」
「いいえ、専門ではありません」
「分かりました。失礼しました。」
というやり取りを経験したことがあります。
病名や症状名で○○専門の鍼灸院を探している方が一定数いらっしゃるようです。
しかし、医師の○○専門のような高い専門性を持つ鍼灸師は、ほとんどいません。医学では「博士号」以上を「専門」と言えるのではないでしょうか。
鍼灸院の「○○専門」は「高級○○専門店」などと同じで、多くの場合「マーケティングとネーミングの工夫」です。「私はこの分野を一生懸命頑張っています」くらいに見るのが妥当です。
「○○専門」を探し回って迷子にならないようにご注意ください。
どんな症状で困っている?
「運動器系の症状」と「運動器系以外の症状」で探し方が違います。
運動器系の症状
一般に「針灸院」と聞くと、「腰痛、肩こり、五十肩、膝痛、神経痛」といった症状を連想するのではないでしょうか。鍼灸院を訪れる方の約8割は、これら「運動器系の症状」で利用するというデータがあります。
「運動器系の症状」で針灸院を探す場合、ほとんどの針灸院が対応しているので、どんな調べ方でも苦労せずに見つけられると思います。
運動器系以外の症状
しかし、残り2割は様々な症状で針灸院を利用します。めまい、難聴、鼻炎、喘息、メンタルの症状、胃腸の症状、頻尿、前立腺の症状、アトピー性皮膚炎など多岐にわたります。
これらの症状は、針灸院ごとに「施術できる・施術できない」が分かれます。
また、よく使うGoogle検索で針灸院を調べると、鍼灸接骨院が多く検索結果に表示されますが、今挙げた「残り2割の症状」は、鍼灸接骨院で施術対象にしていないケースも多いです。
運動器以外の症状で針灸院を探す場合は、1つの方法だけでなく、複数の方法を組み合わせて、ある程度粘り強く探す必要がありそうです。
料金は?
料金で比べて鍼灸院を決める場合は、ポータルサイト・アプリが便利です。
エキテンは、治療院一覧に「〇円~〇円」という価格帯を表示、ホットペッパービューティは、治療一覧で「全身鍼治療コース〇円」などおすすめコースを表示しています。
しんきゅうコンパスは、検索結果の治療院一覧には料金が表示されていませんが、各治療院の情報に入ると「メニュー欄」から確認できます。
近くの針灸院は?
近くの針灸院を探すときは、Googleマップが一番便利でしょう。また、Google検索を行うと、検索結果の上の方にGoogleマップで3件くらい抜粋して表示します。
同じ地図アプリでもYahoo!地図は、表示される鍼灸院が少なすぎます。お勧めしません。
また、ホットペッパービューティーは、治療院一覧を「マップ表示」する機能があり、近くの治療院を探しやすいです。
事前に情報をみて、納得した上で選びたい
複数の針灸院を手早く比べる場合は、ポータルサイトがおすすめですが、詳しく調べたいときは、各治療院の公式サイトをおすすめします。
ポータルサイトで詳細な情報を確認しにくい理由は2つあります。
1つ目は情報量の制限。おそらく、分かりやすさを重視しており、情報が細かくなり過ぎないように、情報量を抑えています。
2つ目の理由はサイトの品質維持です。「○○神経痛」「○○症候群」など、ページの中に医学的な言葉が増えすぎると、Googleなどから「医師や研究機関でもないくせに医療を騙る不審なサイト」とレッテルを貼られるおそれがあります。
最悪なケースではGoogleの検索結果に一切表示されなくなるおそれもあり、ポータルサイトとしては致命的です。
そのため、医療的な語句に制限を設けていることがあります。例えば、「○○神経痛の針灸治療が得意」という鍼灸院が、それをポータルサイト上で書くことができないわけです。
公式サイトでは、ある程度自由に表現できます。ポータルサイトだけでなく公式サイトまでチェックすると、それぞれの院が得意な分野や力を入れている症状などを、詳しく把握できます。
施術者の腕前は?
施術者の腕前は、同業者も正確に把握することはできません。
私がGoogleで「針灸関連のどんな語句で検索されているのか」を調べた時に、「針灸 ゴッドハンド」「針灸 凄腕」と調べている人が意外に多く、笑ってしまいました。
雑誌等で過去に「ゴッドハンド治療家」などを特集することがありました。ご存じかもしれませんが、あれは「広告」です。「今度○○の特集記事で“ゴッドハンド”としてご紹介しますが、1枠〇十万円でいかがですか?」のような営業電話やメールを受け取ったことがあります。
2023年秋から施行されたステマ規制(景品表示法の改正)によって、規制の対象になったのではないでしょうか。
このページでは、スマホ等で針灸院を探すときのポイントを解説しました。参考にしてみてください。
引き続き、針灸について知りたい方は、下記の記事がおすすめです。


