様々な症状に対する鍼灸

肩こりがひどくなって、首の痛みを感じた30代男性が、鍼灸を受けてみた

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今泉洋平|はりきゅう今泉治療院 院長|鍼灸師(国家資格はり師・きゆう師を保有)

「痛そう」「危なそう」と敬遠されがちな鍼灸について、きちんと知ってもらう記事を執筆。|2009年に治療院を開業して15年目。腰痛・肩こりから、難聴や妊活のサポートまでハリ治療で幅広く対応。再発予防のセルフケアレッスンも。

これは首肩コリがひどくなり、首が痛くなって鍼灸を利用した30代後半の男性のお話です。

1か月前から首が痛い

ここ1ヶ月くらい首が痛い。

はじめは首肩コリが強い感じだったが、徐々に痛みに変わって、最近は動いたときにズキっと感じることもある。

仕事はデスクワークでパソコンに向かっている時間が長い。

同じ姿勢を続けていると徐々に痛みを感じてくる。痛みが出てきた時は、首を傾けたり振り返るとズキっと感じる。

今日はすでに朝から痛みがある。数日前からパソコンにかじりついて同じ作業を続けているからかもしれない。

「Iさんちょっと良いですか?」

「はーい、イタタ・・・」

首が痛いのに、後ろから呼ばれて、急に首を動かしてしまった。

「Iさん、どこか痛いんですか?首?寝違えですか?」

「いや~、寝違えみたいに痛いんだけど、しばらく前から。なかなか治らなくて」

「痛そうですね。Iさんハリ行ったことあります?腰痛くなって時々行きますけど、痛みが結構良くなりますよ。」

「そういえば、Mさん腰痛いって前に言ってたよね。ハリかぁ、行ってみようかな。」

昼休みになって、スマホを取り出した。楽天イーグルのロゴが入ったエンジ色カバーが付いている。Mさんから聞いた治療院を検索してみると、場所は久留米なので仕事帰りに寄れそうだ。

ネット予約のカレンダーをみると、明日の夕方6時半から空きがあるので、さっそく予約を入れた。すぐにGmailアプリの通知が鳴り、予約完了を知らせた。

予約当時、鍼灸院へ向かった

予約の当日、夕方6時半の数分前に治療院に着いた。治療院は住宅街の生活道路の角にあり、道路の角が隅切りされている所が入口になっていた。

玄関前の駐車スペースは灰色のコンクリートが敷かれており、奥に向かって軽く上り傾斜になっている。その駐車場に車を停めた。

ネットで見た通り普通の住宅だ。入口に「はりきゅう今泉治療院」という看板がある。玄関の呼び鈴を押すと、先生が中から出迎えてくれた。

外は既に暗くなっており、中の蛍光灯が明るい。先生の顔はやや影になって表情は読み取れないが、ネットで見た写真と同じ人のように見えた。

「はい、どうぞ。」

ニューバランスのエンジ色のスニーカーを脱いで上がり、やや茶色がかったクリーム色のスリッパに足を入れて、中へ入った。

部屋の中に入るとハープのような楽器の音楽が耳に入ってきた。聞き覚えのない曲だが穏やかでリラックスできそうな音色だ。

テーブルの前の丸椅子に腰かけるよう案内された。

「はじめにこちらの用紙へ記入をお願いします」

丸椅子に腰をかけると、テーブルにはA4用紙が黒いバインダーに挟まれて、置かれている。用紙の上に置かれた黒いゲルインクボールペンを手に取った。

用紙の上の方に受付カードと書かれている。記入欄に従って症状などについて書き込んでいった。

全て書き入れて「書き終わりました。」と先生に声をかけた。先生に用紙とペンをバインダーごと渡した。

「はい、ありがとうございます。では、こちらでお話を伺いますので、ベッドに腰かけて頂けますか。」

先生は用紙を受け取って、ペンはテーブルへ置いた。ベッドへ腰掛けた私の方へ体を向けて、丸椅子に腰をかけた。左手にバインダーを持って用紙に視線を落としている。胸ポケットから右手で赤ボールペンを取り出した。

用紙と私の顔の間で視線を行き来させながら、症状について尋ねた。私は先生の顔の方へ視線を向けながら、答えた。

視線を少しずらすと、奥にはパソコンのモニターが見えている。デスクトップ画面にはウィンドウがひとつも表示されておらず、ヨーロッパのどこかのような小径が、くっきりとした色合いで映し出されている。

目の疲れや歯ぎしりについて質問されたのが意外だった。

歯ぎしりはおそらくないが、目の疲れは慢性的だ。目の疲れや歯ぎしりで、首がこって痛くなることがあると説明された。

「目の疲れってハリで良くなるのだろうか?」と一瞬思ったが、やり取りが続いたので、頭の奥の方へ流れていってどこかに消えた。

「次は動きを確認するんですが、動きやすいようにまず着替えたほうが良いですね。シャツの下はTシャツですか?」

「はい半袖のTシャツです。」

と返答すると、先生が収納かごからグリーンのハーフパンツを取り出してベッドの上に置いた。

「じゃあ、下はこのハーフパンツに着替えてもらえますか。上は薄着になってTシャツでお願いします。」

と言って、端に寄せてあったカーテンを引きながら、姿を消した。淡くオレンジがかったクリーム色のカーテンが、部屋の幅いっぱいに広がった。

用意されたハーフパンツは、通気性がよく伸縮性があるスポーツウェアのようなタイプだった。言われたとおりに着替えて、
「着替えました。」

カーテンの向こうへ向かって声をかけた。カーテンは開きながらシャーっと音を立てた。

「では、動きをみてみますので、こちらの椅子にむこう向きで腰かけていただけますか」

先生が丸椅子をこちら側へ少しずらした。

先生に背を向けて、丸椅子へ腰掛けた。正面には窓にかかった白いブラインドが見えている。

「首から動きをみてみますね」

先生が後ろから声をかけて動きを指示した。指示に従って順々に首と肩を動かしていった。

首はどの方向に動かしても硬く、途中で引っかかってしまうような感じがする。首の右側は少し痛みも感じた。

意外だったのは肩の動きだ。直角に曲げた肘を前に出して、そこから外側に広げていく動きをした時に、胸の前側がつっぱって大きく動かせなかった。

この動きが固いのは気が付いていなかった。

「これが固いと猫背になって、首のコリにつながります。」

と説明してくれた。猫背といわれると心当たりがある。仕事中にパソコンへ向かっていると猫背になっているし、仕事が終わって立ち上がると、いつも背すじが伸びないような気がしていた。

「腰の動きも確認してみます。立っていただいて」

腰も前後左右に倒して動きを確認した。いつも通りの動きだった。

「腰を反らすときに股関節があまり動いてないですね。」
と指摘されたが、股関節が動いていないというのは、よく分からなかい。

「ベッドにうつ伏せになっていただいて、もも前と股関節の動きを確認してみます。」
といいながら、ベッドの上に畳んで重ねられていた2枚の大きいタオルを手に取って、ベッドわきに立っているパーテーションの上端に掛けた。

私がうつ伏せ向きに寝るとと、先生が足首をつかんで膝を曲げる方向に力を加えていった。

「ちょっと、この方向は硬くなっていますね。」
と筋肉が固いことを指摘しされた。太もも前はきついストレッチをしたような突っ張る痛みを感じた。

「太ももが上に持ち上がるか見てみます。きつそうですね」

と言いながら、先生が太もも前側に手を当てて、上に持ち上げようとしたが、あまり動かない。

「だいぶ硬いですね。この硬さも取ったほうが、首や肩のコリが柔らかくなりやすいです。」

鍼灸治療開始

「では、仰向けから治療していきます。」

私がベッドへ仰向けになると、先生がさっきベッドから除けたタオルを手に取って、私の上半身に掛けた。

「仰向けでは、足、太もも前、腕、肩、頭の横のツボを使います」

と言った後、私の足元の方で何かを用意しているようだ。カチャカチャ、カサカサと音がしている。

「足の方のツボから、ハリをしていきます」

すねのあたりのツボから順々にハリが施されていった。

「太もも前は少しズーンと刺激感があるかもしれません。」
と言われた後に、太ももにハリを施された。確かにハリを刺したときに重く響くような感じがした。

その後、肘、肩、側頭部のツボにハリが施された。側頭部は結構ズーンとしっかり感じたが、悪いところに効いているような気がした。

「目の疲れが強いと、そこは結構強く響きます」と先生が言っていた。

「では、このまま10分間お待ちください。」

ハリを刺したらすぐに抜くものだと思っていたが、刺したまま10分間待つようだ。

しばらくすると、タイマーが鳴った。ピピピピピピピピ

「では、ハリを全部取りますね。」

10分間経ったようだ。先生がハリを全て取り除いた。

この時点で少しすっきりして頭から首が軽いような感じだが、気のせいだろうか?

「では、次はうつ伏せになってもらえますか?」

横に寝返りを打つような感じで回ると、顔の前にU字型の柔らかそうなクッションのようなものが置かれた。

表面は青いビニールレザーのような素材でできていて、その上を覆うように薄いタオルが掛けられている。

「このくぼみに顔が入るような感じでお願いします。」

くぼみ部分に顔を埋めてうつ伏せになった。

「首の後ろから、股関節にかけてハリをしていきます。」

と言って、Tシャツの裾が首の後ろ辺りまでたくし上げられた。

「首の後ろからハリをします。目が疲れていて、首がこっているので、結構刺激感が強いと思います。」と説明しながら、順々にハリが施されていった。

首の後ろは先生が言う通りで、ズーンという刺激を感じ、悪いところに届いているような気持ち良さがあった。

肩甲骨、背中とハリを施す位置が下がっていった。

「股関節も結構硬かったんですけど、ここのハリはどうですか?」

と股関節のツボにハリを施しながら先生が尋ねた。

「すこしズーンと来ています。」

股関節の筋肉も硬くなっているのが実感できた。

「ではうつ伏せのハリはこれで全部です。10分間お待ちください。」

うつ伏せは視界が暗いせいか、だんだん眠くなっていった。

鍼灸治療を終えると、首が・・・

ピピピピピ、タイマーの音で目が覚めた。10分間経ったようだが、もっと長い時間だったように感じた。

「ハリを全部取りますのでお待ちください」

首の後ろから順々にハリが取り除かれていく。

「全部ハリを取ったので、起きていただけますか」

起き上がるときに、なんとなく体が軽くなっているような感じがする。

「首を前に倒してみて下さい。硬いとかつっぱるとか、気になる感じはありますか?」

「あれ?最初よりだいぶ前に倒れます。」

ハリの前は首の後ろがつっぱるような感じがして、途中で動きがとまってしまったが、
今はだいぶ柔らかく動くようになって、突っ張る感じもしない。

後ろや横方向の動きも、楽に行えるようになっている。首の右側に痛みを感じていたが、今は痛みもなくスムーズに動いている。

「だいぶ動きが良くなりましたね。今日の治療でしばらく楽に過ごせると思いますが、疲れがたまるとまた硬くなるので、月1、2回のメンテナンスがおすすめです」
とアドバイスされた。

ハリ治療の前に首が痛かったことを考えると、あまり間をあけないで来た方が良い気がした。念のために2週間後に予約を入れて帰った。

*  *  *

はじめて鍼灸を受けてから3か月経った。

その後、だいたい月1回のペースで鍼灸を受けてメンテナンスしている。

仕事でパソコンの作業が多くなると、首が少しつらくなるが、痛くなることはほとんどない。

以前よりだいぶ楽に過ごすことができている。ハリを受けてしばらくは、体が軽く動くので快適だ。

首や肩だけでなく、足腰も動きが良いような気がする。腰が軽くなって、歩きもスムーズになるし、背筋も伸びて気持ちが良い。

これからも続けて通うつもりだ。

肩こり・首こりについて

・ハリ治療が、首こり・肩こりに効くのはなぜ?
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という内容で下記ページでご説明しています。こちらもご覧ください。

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「痛そう」「危なそう」と敬遠されがちな鍼灸について、きちんと知ってもらう記事を執筆。|2009年に治療院を開業して15年目。腰痛・肩こりから、難聴や妊活のサポートまでハリ治療で幅広く対応。再発予防のセルフケアレッスンも。

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