パーキンソン病の鍼治療|はりきゅう今泉治療院の施術方法と、国内外での報告

はりきゅう今泉治療院のパーキンソン病に対するハリ治療
パーキンソン病の症状緩和と進行抑制
はりきゅう今泉治療院では、パーキンソン病に対して、「パーキンソン病の症状をできるだけ軽減すること」と「病気の進行を遅らせて、身体機能低下を防ぐこと」を目的に、鍼治療を行います。
- 短期的な症状改善効果:運動症状の緩和、非運動症状の緩和
- 長期的なパーキンソン病の進行抑制:鍼で進行が止まることはありませんが、鍼と薬物の併用で、薬物単独よりも、長期的な病気の進行度合いが小さくなっているという報告があります。病院の治療にハリ治療を併用することで、進行を遅らせることが期待できます。
手順・時間
- 手順は、仰向け治療→うつ伏せ治療です。
- 各姿勢で置鍼および鍼通電を10分間ずつ行います。
- ただし、海外の報告では置鍼や通電を30分間行った効果も多数報告されています。時間の長さで効果が変わることも考えられ、今後「置鍼・通電30分間」という方法も導入する可能性があります。
ハリ治療で使うツボの位置
- 腕・足・腹部・頭部・首・背部・腰部
- 各部のツボによるパーキンソン病に対する効果は、様々な報告があります。新しい報告を参考にしながら、施術で使うツボを選んでいきます。
パーキンソン病の各症状に対するツボの例





はりきゅう今泉治療院の施術メニュー
- パーキンソン病に対して、初回は「初診65分」、2回目以降は「ハリ50分」が基本メニューです。
- 本来、これらは通電を行わないメニューですが、パーキンソン病では通電を行います。
8時30分~21時まで
(日曜19時まで・火曜休診)
フリーダイヤル0120-913-728
県外からは024-973-5048
8時30分~21時まで
(日曜19時まで・火曜休診)
パーキンソン病に対する鍼治療の研究・報告
パーキンソン病の針治療に関して、国内外の研究・報告をご紹介します。
鍼治療と薬物治療の併用で、パーキンソン病の病状進行が遅くなるという報告
「薬物治療単独群」と「鍼灸治療併用群」(月2~4回の鍼灸治療)を5年間追跡調査、鍼灸併用によって「薬の内服量が少なくて済む」「パーキンソン病の病状が進行しにくくなる」という国内の報告です。
パーキンソン病に対する薬物治療と鍼灸治療併用療法についての治療成績
「薬物治療単独群」は一般的な病院の治療方法です。「鍼灸治療併用群」は通常行う薬の治療に鍼灸を併用しました。これら2群を比べることによって、「パーキンソン病に対する鍼灸の効果」を知ることができます。
また、パーキンソン病で鍼灸を受ける方は、病院の治療も必ず受けているので、「実際に鍼灸を受けるとどんな効果が得られるのか」がわかります。
ハリ治療の併用で、薬の内服量が減る
鍼灸治療併用群は、薬物治療単独群に比べて、L-DOPAとDOPA作動薬の内服用が少量で済んでいると報告されています。
パーキンソン病は、徐々に症状が悪化するため、少しずつ薬の量を増やす必要があります。鍼灸を併用した群の内服量が少なかったということは、鍼灸を併用したことで、症状の悪化を抑えられたと考えられるでしょう。
ハリ治療の併用で、病気の進行が緩やかになる
鍼灸治療併用群は、薬物治療単独群に比べてパーキンソン病の進行抑制がみられたと報告。(評価項目は、Hoehn-Yehr指数、UPDRSⅡ、UPDRSⅢ)
Hoehn-Yehr指数(パーキンソン病の重症度分類)
鍼灸治療併用群では、5年後のHoehn-Yehr指数が治療開始時とほぼ同じでした。
ただし、治療開始直後に改善、その後緩やかに悪化して、5年経過時点で最初と同等。薬物治療単独群は病状の進行がはっきりしており、2群を比べて「鍼灸治療併用群は進行を抑えられている」と評価しています。
UPDRSⅡ(日常機能評価)
鍼灸併用群は、薬物単独群と比べて5年間の悪化幅が半分以下に抑えられています。
項目別にみると、「食事と食器の取り扱い」「着衣」「寝返り及び布団返し」「転倒」「歩行」において、鍼灸併用群は薬物単独群に比べて症状が軽度です。
UPDRSⅢ(運動機能評価)
二群を比べると、鍼灸併用群で5年間の悪化幅が半分以下に抑えられています。
項目別にみると、「固縮」「手の回内回外運動」「下肢の俊敏性」「姿勢」「歩行」「動作緩慢と運動減少」において、鍼灸治療併用群は薬物治療単独群に比べて症状が軽度です。
QOL(生活の質)、うつ傾向について
PDQ-39(パーキンソン病患者の生活の質を測る指標)では、鍼灸併用群と薬物単独群で有意差はない(つまり、統計的に偶然や誤差の可能性を残していて、確実とは言えない)ものの、鍼灸治療併用群のほうが薬物治療単独群に比べて、患者のQOLが高い。
また、PDQ-39内の「うつ傾向」を測る指標では、有意差はないものの、鍼灸併用群でうつ傾向軽減がみられた。※これも有意差がないので、偶然や誤差の可能性は残っている。
鍼治療週1回と月1回を比較、鍼治療のパーキンソン病への作用を考察
鍼治療を「週1回受けるグループ」と「月1回受けるグループ」に分けて効果を比べた報告が、国内にありますのでご紹介します。また、鍼のパーキンソン病ヘの作用も考察しています。
パーキンソン病に対する鍼治療の臨床効果に関する研究―ランダム化比較試験(RCT)による検討―
「週1回3か月間の鍼治療を受けるグループ」「月1回3か月間の鍼治療を受けるグループ」に分けて、統合パーキンソン病評価尺度(UPDRS)、歩行バランス能力、姿勢保持能力などで効果を測定しました。
「週1回」と「月1回」の両群にみられた鍼治療の効果
UPDRS(質問回答形式でパーキンソン病の病状を測る指標)、歩行バランス能力の2項目では、「週1回群」と「月1回群」に差はなく、両群とも改善した。
「週1回群」にみられた鍼治療の効果
姿勢保持能力の改善とF波低下
週1回治療群では、姿勢保持能力の改善と、F波低下が認められた。
F波:パーキンソン病では、脊髄にある運動神経細胞の興奮が異常に強くなっており、その強さを測るのが「F波」です。
鍼灸治療でF波が低下したことによって、鍼灸で神経の働きが良い方向に変化したと考えられます。
LLR振幅の低下と運動症状の改善
週1回治療群のうち、LLR振幅が低下した症例では、パーキンソン症状や運動症状の改善する傾向が示された。(統計学的に偶然や誤差の可能性を排除できない場合に「傾向」と表します。データを多く集めることではっきりすると考えられます。)
LLRとは:長潜時反射といい、パーキンソン病の筋強剛や無動と関係します。
鍼灸併用によってLLR振幅が低下したことで、神経の働きが良い方に変化したことがわかります。
考察|鍼治療のパーキンソン病に対する作用
これらの結果から、鍼灸治療はパーキンソン病に対して、脊髄の運動神経細胞の過剰な興奮を低下させ、脳・脳幹の過剰出力を抑制する可能性があると考察しています。
パーキンソン病では、脊髄や脳の運動機能が過剰に働くことが、症状の原因と考えられています。鍼灸は脊髄や脳の過剰な働きを抑えて、症状を改善する可能性があります。
パーキンソン病に対する鍼治療の効果や作用に関するレビュー(海外の報告)
海外の論文を検索すると、パーキンソン病に対する鍼灸の論文が、日本に比べて非常に多いです。
参考になったレビューをご紹介します。このレビューでは、鍼治療のパーキンソン病への効果や、効果を及ぼす仕組みについて、まとめられています。
Acupuncture for Parkinson’s Disease: Efficacy Evaluation and Mechanisms in the Dopaminergic Neural Circuit
鍼治療のパーキンソン病に対する効果
- 「鍼治療と薬物療法の併用」は、「薬物療法単独」と比較して、症状緩和の効果が優れている。
- 鍼治療は単独でも、薬物療法に近い有効性を持つ可能性がある。
- 「鍼と薬物の併用」「鍼単独の治療」はともに、薬物単独治療と比較して、重症度を低下させる可能性がある。
- 薬物治療が副作用のリスクを持っているのに対して、鍼治療には重篤な副作用がない。したがって、鍼治療が治療効果を高めることで、薬の必要量が減り、副作用を緩和・軽減する可能性がある。
- 鍼通電療法が、歩行速度、歩幅、姿勢制御を改善する。
- 鍼治療がパーキンソン病の倦怠感を緩和する。
- 鍼治療がパーキンソン病の痛みを緩和する。また、fMRI(MRIで血流をもとに脳の活動性を視覚化する方法)から、鍼で脳活動が変化することで、痛みが緩和される可能性が示されている。
- パーキンソン病に対する鍼治療において副作用は報告されていない。
- 鍼治療は、運動症状と非運動症状(疼痛、抑うつ、自律神経症状など)の両方を緩和する効果を持っている可能性がある。
- 鍼治療はパーキンソン病患者の睡眠障害の緩和に有効。
- 鍼治療はパーキンソン病患者の口腔機能改善に有効である可能性がある。(平均舌圧の増加、平均嚥下反射潜時の短縮)
パーキンソン病に対して鍼治療が効果を及ぼす仕組み
鍼治療は、ドーパミン作動性神経細胞の変性を抑制して、大脳基底核周囲の神経伝達物質のバランスを調整する可能性がある。
基礎研究で、鍼治療がドーパミン作動性神経細胞のα-シヌクレイン凝集、アポトーシス、酸化ストレスを防ぐ可能性があることが示されている。
このページでは、パーキンソン病に対する当院の針灸治療と、国内外の研究報告をご紹介しました。
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