はじめての鍼灸

鍼灸院のえらび方

 

鍼灸師の立場から、鍼灸院のえらび方を書いてみます。

 

料金

鍼灸の治療院を選ぶ時に、一番最初に気になるのが料金のことだと思います。自由診療であり患者さんの負担が病院と比べて割高ですので、気になるのは当然のことです。

ポイント1

一回の施術料が高ければ早く治るとか、安い料金では治らないということはありません。患者さん自身が納得できる料金であることが一番です。

ポイント2

また、慢性的な症状で一定期間通い続ける必要がある場合は、通い続けられる料金かどうかという点もお考え下さい。

ムリをして高い料金を払ったほうが、早く良くなるかも、、、というお考えはやめたほうが良いです。途中で通うのが辛くなって、やめてしまっては意味がありません。

「通い続けられるか」という観点では、ご自分の症状が改善まで長くかかるかどうか、候補の治療院へ一度問い合わせてみてもいいでしょう。

「治りますか、治りませんか」とはっきりした答えを求められると、症状によっては返答に困ることもありますが、治療に長い期間を要するかどうかは、大体の鍼灸師が回答できると思います。

健康保険

「健康保険が使える所」という基準で鍼灸治療院を探している方もいらっしゃるようですが、良い治療を受けようと思う場合は、ちょっと考えたほうが良いです。

私の治療院がある福島県郡山市では、鍼灸の治療料は3,500円~5,000円が相場です。

それに対して健康保険の場合は、患者さん負担分と保険者負担分の合計で、1,300円~1,520円です(2019年2月現在の数字。鍼か灸の単独か併用かで保険の額が異なります)。

鍼灸で健康保険の利用方法は2通りあります。

  1. 健康保険のみで利用
  2. 「健康保険+保険外」の組み合わせで利用

※鍼灸に適応される健康保険は「療養費」という制度です。これは病院の医療費と少し異なるもので、保険対象と対象外の治療を組み合わせても問題ありません。

 

健康保険のみで利用する場合

「健康保険のみで利用」の料金を、2019年2月時点の金額で計算してみます。

  • 鍼のみ・灸のみ・・・1,300円
  • 鍼と灸を併用・・・1,520円
  • 鍼通電などの電気を使った治療器具を併用・・・30円加算

これを踏まえて、患者さん負担分を計算すると、

  • 例えば、鍼と灸の併用で鍼通電も行うと→1520+30=1,550円
  • 1割負担・・・1550✕0.1=155円
  • 3割負担・・・1550✕0.3=465円

通常3,500円や4,000円で行う治療をこの料金で受けられたら良いのですが、、、

結論はまだです。

健康保険と保険外の組み合わせで利用する場合

つぎに「健康保険+保険外」の組み合わせで鍼灸を利用する場合を計算します。

健康保険を使わない元々の治療費が4,000円、上の例と同じく鍼と灸を併用して鍼通電を行った例で考えます。

4,000円を次のように分けます。

  • 保険対象 1,550円(上で既に計算した額)・・・①
  • 保険の対象外 2,450円・・・②
  • ①+②=4,000円

保険対象の1,550円には、患者さんの年令に応じた負担割合が掛け算されます。※上で行った計算と同じです。

  • 1割負担・・・1550✕0.1=155円
  • 3割負担・・・1550✕0.3=465円

保険対象額と保険対象外を組み合わせるということは、

  • 1割負担の方・・・155+2450=2,650円
  • 3割負担の方・・・465+2450=2,915円

おそらく、患者さんの中には「え?保険対象外のお金を取るの?」「保険なのにそんなにかかるの?高すぎるでしょ?」という方もいらっしゃると思いますが、鍼灸の療養費というのは、こういう料金請求も想定しています。

極端な例で説明すると、治療料金が1万円であっても、10万円であっても「定められた金額のみは保険者が負担します。残りは患者さんが負担して下さい。」という制度です。

保険の取扱いについて、以前の当院の例で

以前に当院で行っていた例で説明します。

上の「保険と保険外を組み合わせる」の費用を患者さんに説明したことが何度かあります。しかし、患者さんは「じゃあ、いいです」となり、このパターンで治療を受けた方は一人もいなかったと思います。

皆さん病院の保険診療しか知らないので、保険と保険外の組み合わせはなかなか理解してもらえませんでした。

したがって、当院では「健康保険のみで利用する」のやり方を行っていました。

当院で通常の治療費は3,500円です。保険は1,300円や1,550円ですので、現実問題として差額分は治療時間を短縮するしかありません。

そして、治療時間を短縮すると、劇的に治療効果が落ちました。いつになったら治るのか?と心配になるほどのこともありました。

*   *   *

現在、健康保険を取り扱っている治療院がどのようにしているのか、確かなことは分かりません。

しかし、自由診療の3,500円とか4,000円の治療が数百円で受けられるということは、期待しないほうがいい、と私は考えています。

鍼灸院か、鍼灸マッサージ院か、鍼灸接骨院か?

名前に「鍼灸」が入っている治療院には、鍼灸院・鍼灸マッサージ院・鍼灸接骨院があります。鍼灸がはじめての方はここでも迷うのではないでしょうか。

治療院の特色は、細かく言えば治療院毎に異なりますが、ここでは3種類の治療院について、大体の傾向を考えてみます。

鍼灸マッサージ院の場合

鍼灸マッサージ院は、はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師の3つの免許を持っている施術者が経営している治療院です(異なる免許を持つ複数の施術者が在籍している場合も一部あるでしょう)。

鍼灸マッサージ院

鍼灸マッサージ院では、鍼灸とマッサージ(あん摩、指圧も含む)という2つの方法を上手に組み合わせながら施術してもらえるという点が魅力です。

ただし、鍼灸の時間とマッサージの時間配分について、以下のようなことも考えられます。

  • 治療院ごとに、鍼灸とマッサージの時間配分が異なる
  • 患者さんの症状等によって、鍼灸とマッサージの時間配分を調節する治療院もある
  • 患者さんの希望を聞いた上で、鍼灸とマッサージの時間配分を調節する場合もある

当院へ来院された患者さんから、鍼灸マッサージ院へ行って失敗したという話を聞いたことがあります。その方は、鍼灸治療を目一杯やってほしくて鍼灸マッサージ院へ行ったところ、鍼灸とマッサージが半々で期待と違っていたということでした。

こういうケースもありますので、期待している治療が受けられるかどうか?また、その院の治療方法に納得できるかどうか?事前によく調べて選んだほうが良いでしょう。

鍼灸接骨院の場合

鍼灸接骨院は、はり師・きゅう師・柔道整復師の3つの免許を持っているか、これらの免許を別々に持つ施術者が複数在籍しています。まれに、あん摩マッサージ指圧師の資格を持つ施術者がいる場合もあります。また「鍼灸」がつかない「〇〇接骨院」という名称で、はり師・きゅう師の免許を持つ施術者がいることもあります。

一般に、鍼灸接骨院では

鍼灸接骨院

  • 接骨に関しては保険治療が簡便(※取扱には条件あり)
  • 急性期の筋・関節の症状、スポーツに伴う症状に力を入れている。
  • 非常に高機能かつ超高価な治療機器を多数揃えていることもある。
  • それらと鍼灸を組み合わせた施術を提供できる。

という点が魅力です。

接骨の治療は保険の取り扱いが簡便であるため、患者さんの来院数が多く、夕方以降は非常に混んでいます。よって、

鍼灸治療を受ける際、混んでいる時間帯には丁寧な治療を受けられない可能性もある。

また

そもそも、鍼灸への力の入れ具合が院によって異なる。

ということも注意です。

「鍼灸」を希望する場合は、期待通りの治療が受けられそうかどうか、情報収集することをおすすめします。院の名前に「鍼灸」が入っていても、それだけでは判断できません。

 

鍼灸の効果を求めるなら鍼灸専門の治療院

鍼灸治療院の施術者は基本的に、はり師・きゅう師の免許しか持っていません。治療の中心は鍼灸です。

鍼灸院の特徴①

  • 施術時間はすべて鍼灸をおこなう院がほとんど
  • 鍼灸の習熟度が高い

また、鍼灸自体の対象となる範囲が広いので、鍼灸に特化して習熟していれば、

鍼灸院の特徴②

対応できる症状の幅が広い

ということも特徴です。

鍼灸治療を受けたくて鍼灸院を選んだ場合、「期待したより鍼灸治療が少なくてがっかりした」ということは、まずないでしょう。

もし鍼灸を目的に治療院を探しているのなら、鍼灸院を選ぶのが最適だと思います。

 

治療院の規模、ベッド数

規模の大きなベッド台数の多い治療院は、長年頑張ってきた結果大きくなったというケースが殆どで、その経験値は患者さんから見て魅力的です。

実際、周囲の鍼灸師を思い浮かべてみると、規模の大きな治療院の先生は、全員腕も人柄も申し分ありません。

ただし、規模だけで選んでしまうと選択ミスをしてしまうかもしれませんので、その点を書いておきます。

デリケートな症状で、他の人に聞かれたくない方

鍼灸院を訪れる方には、他の人にはあまり聞かれたくないような症状の方もいらっしゃいます。

ベッド数の多い治療院の多くは、ベッド間の仕切りがカーテンや布製パーテーションです。「他の人にはあまり聞かれたくない」という時には適した環境ではありません。

数ある治療院の中には、ベッド数が多くても個室形式の治療院もあるとは思います。しかし、(現役鍼灸師の)私でもすぐには思い浮かばないので、皆さんの近隣ですぐに見つかるかどうかわかりません。

丁寧に診てもらいたい方

規模の大きな治療院では、全てのベッドが患者さんで埋まると、スタッフは非常に忙しくなります。

混んでいる時間帯は、患者さん一人ひとりに対する丁寧な対応は難しいかもしれません。

会話を楽しみたい方

高齢の患者さんは、治療院での会話を楽みにしている方が結構多いです。

最近、若い患者さんにも会話を楽しみたい方がいらっしゃることに気づきました。特に、定期的に長期間通わなければならない方は、通うことに飽きないように会話も楽しみにしているような感じがあります。

*   *   *

このように、必ずしも規模の大きな治療院がすべての人にとって適した治療院となるわけではありません。治療院を選ぶときには、こういう点も参考にして下さい。

その鍼灸師は勉強熱心か?

「できるだけ勉強熱心な鍼灸師に診てもらいたい」というのは、何らかの症状に悩んで鍼灸治療院を探している患者さんに共通だと思います。

学会や講習会への参加をブログやSNSに投稿している鍼灸師もいますが、必ずしも熱心に勉強しているとは限りません。

ただ参加するだけでなく、学会で発表したり、講習会で講師を務めていれば、本当に頑張って勉強していると言えます。

また、鍼灸には大学院もあります。大学院まで勉強した経歴を持っていれば、平均的な鍼灸師より相当優秀ですので、そういう点もチェックすると良いでしょう。

ちなみに、知り合いで還暦を過ぎて鍼灸の大学院で勉強を始めた鍼灸師もいます。こういう方は他の鍼灸師からも推薦できます。

まとめ

  • 納得できる料金、無理なく通える料金の治療院を選びましょう。
  • 健康保険で鍼灸を受ける場合、自由診療の治療を数百円で受けられるとは限りません。
  • 「鍼灸の効果」だけで言えば、鍼灸を専門に行う治療院が最も確実です。
  • 「他の人には話を聞かれたくない」「丁寧に診てほしい」「治療院での会話が楽しみ」という方は、必ずしも規模の大きな治療院が向かないかもしれません。
  • 学会や講習会への参加は、それだけで必ずしも勉強熱心とは言えません。学会で発表したり、講師を努めたり、鍼灸の大学院を卒業していれば、勉強熱心で優秀です。

 

  • この記事を書いた人

89ima

はりきゅう今泉治療院 院長の今泉洋平です。多くの方々に鍼灸を知ってもらえるように、沢山記事を書いていきます。

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