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はじめての鍼灸

鍼灸院のえらび方|①健康保険 ②治療院のタイプ(鍼灸院、鍼灸接骨院、鍼灸マッサージ院)

89ima

【編集履歴】
2023年6月14日 内容を分かりやすくするため、タイトルと文章を一部直しました。
2023年11月17日 この記事を鍼灸ノートからこのページへ移動しました。

選び方

このページでは、前半は鍼灸治療の料金について主に「健康保険が安いからと言ってコスパが良いわけではない」ということを書きます。後半は「鍼灸マッサージ、鍼灸接骨、鍼灸」という3種類の治療院の選び方についてご説明します。

鍼灸(しんきゅう)治療の料金

費用

鍼灸の治療院を選ぶ時に、一番最初に気になるのが料金のことだと思います。自由診療であり患者さんの負担が病院と比べて割高ですので、気になるのは当然のことです。

  • ムリをして高い料金を払ったほうが、早く良くなるかも、、、というお考えはやめたほうが良いです。途中で通うのが辛くなって、やめてしまっては意味がありません。
  • 「通い続けられるか」という観点では、ご自分の症状が改善まで長くかかるかどうか、候補の治療院へ一度問い合わせてみてもいいでしょう。
  • 「治りますか、治りませんか」とはっきりした答えを求められると、症状によっては返答に困ることもありますが、治療に長い期間を要するかどうかは、大体の鍼灸師が回答できると思います。

鍼灸の健康保険

「健康保険が使える所」という基準で鍼灸治療院を探している方もいらっしゃるようですが、鍼灸師としての私の考えでは「良い治療を行おうとすると、健康保険を使うのは難しい」です。良い治療を受けたい人は、よく考えたほうが良いです。

保険証

私の治療院がある福島県郡山市では、鍼灸の治療料は4,000円~5,000円が相場です。
それに対して健康保険の場合は、患者さん負担分と保険者負担分の合計で、1,300円~1,520円です。

ハリ治療の健康保険は、2通りの利用方法が考えられます。

  1. 健康保険のみで利用
  2. 「健康保険+自由診療」の組み合わせ

※鍼灸の健康保険は「療養費」という制度です。健康保険と自由診療を組み合わせて利用できます。病院の医療費とやや異なります。

健康保険のみで鍼灸を利用する場合

健康保険のみで利用する場合の料金を、2019年2月の基準で計算してみます。単価は以下のように決まっています。

内容金額
ハリのみ、灸のみ1,300円
ハリと灸を併用1,520円
電気を使った治療器具を併用30円加算

これらの単価を踏まえて、患者さんの負担分の料金を計算してみましょう。

  • 鍼と灸の併用で鍼通電も行うと→1520+30=1,550円
  • 1割負担・・・1550✕0.1=155円
  • 3割負担・・・1550✕0.3=465円

自由診療で4千円や5千円の治療を、この料金で受けられたら良いのですが…、
結論はまだです。

健康保険と自由診療の組み合わせで利用する場合

つぎに「健康保険+自由診療」の料金を計算します。

仮に、健康保険を使わないもともとの料金を4,000円とします。
上の例と同じく鍼と灸を併用して鍼通電を行った場合で考えます。

4,000円を次のようにわけます。

  • 健康保険の対象 1,550円(上で既に計算した額)・・・①
  • 自由診療 2,450円・・・②
  • ①+②=4,000円

健康保険の対象1,550円(①)には、患者さんの年齢に応じた負担割合が掛け算されます。

  • 1割負担・・・1550✕0.1=155円
  • 3割負担・・・1550✕0.3=465円

健康保険と自由診療を組み合わせると、患者さんの負担額は、

  • 1割負担の方・・・155+2450=2,650円
  • 3割負担の方・・・465+2450=2,915円

おそらく、患者さんの中には「え?保険対象外のお金を取るの?」「保険なのにそんなにかかるの?高すぎるでしょ?」という方もいらっしゃると思いますが、鍼灸の療養費というのは、こういう料金請求も想定しています。

極端な例で説明すると、治療料金が1万円であっても、10万円であっても「定められた金額のみは保険者が負担します。残りは患者さんが負担して下さい。」という制度です。

保険の取扱いについて、以前の当院の例で

以前は当院でも健康保険を取り扱っていました。(今は健康保険は取り扱わず、自由診療のみです)

上の「健康保険+自由診療」の費用を患者さんに説明したことが何度かあります。しかし、患者さんは「じゃあ、いいです」となり、このパターンで治療を受けた方は一人もいなかったと思います。

普通は病院の保険診療しか知らないので、「健康保険+自由診療」の組み合わせは理解してもらえません。症状を治すために来ていて、料金のことをゴチャゴチャ説明されるのも面倒だったのかもしれません。

したがって、当院では「健康保険のみで利用する」のやり方を行っていました。

当院で通常の治療費は平均四千円台です。保険は1,300円や1,550円ですので、差額分は治療時間を短縮するしかありません。

そして、治療時間を短縮すると、劇的に治療効果が落ちました。いつになったら治るのか?と心配になるほどのこともありました。

*   *   *

「自由診療の4千円や5千円の治療を数百円で受けられる」ということは、期待しないほうがいいでしょう。

鍼灸院か、鍼灸マッサージ院か、鍼灸接骨院か?

名前に「鍼灸」が入っている治療院には、鍼灸院・鍼灸マッサージ院・鍼灸接骨院があります。鍼灸がはじめての方はここでも迷うのではないでしょうか。

分かれ道

治療院の特色は、細かく言えば治療院毎に異なりますが、ここでは3種類の治療院について、大体の傾向を考えてみます。

鍼灸マッサージ院の場合

鍼灸マッサージ院は、はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師の3つの免許を持っている施術者が経営している治療院です(異なる免許を持つ複数の施術者が在籍している場合も一部あるでしょう)。

鍼灸マッサージ院では、鍼灸とマッサージ(あん摩、指圧も含む)という2つの方法を上手に組み合わせながら施術してもらえるという点が魅力です。

ただし、鍼灸とマッサージの時間や内容の配分について、以下のようなことも考えられます。

  • 治療院ごとに、鍼灸とマッサージの時間と内容の配分が異なる
  • 患者さんの希望で時間・内容の配分を変える
  • 患者さんの希望と関係なしに、院側で時間・内容の配分を決める

というように、鍼灸とマッサージの時間・内容の配分は、それぞれ異なります。
「〇〇にハリ治療をしっかりやってもらいたかったが、マッサージが多くて残念だった」ということも聞いたことがあります。

鍼灸接骨院の場合

鍼灸接骨院は、はり師・きゅう師・柔道整復師の3つの免許を持っているか、これらの免許を別々に持つ施術者が複数在籍しています。まれに、あん摩マッサージ指圧師の資格を持つ施術者がいる場合もあります。また「鍼灸」がつかない「〇〇接骨院」という名称で、はり師・きゅう師の免許を持つ施術者がいることもあります。

  • 接骨は保険を利用して受けられる
  • 急性期の筋・関節の症状、スポーツに伴う症状に力を入れている。
  • 施術用機器を多数揃えていることが多い
  • それらと鍼灸を組み合わせた施術を提供できる。

というのが鍼灸接骨院の特徴です。

鍼灸接骨院でハリ治療を利用する際には、「ハリ治療への力の入れ具合が院ごとで違う」という点に注意が必要です。
治療院の名前に「鍼灸」と入っていても、あまり鍼灸治療に力を入れていないケースもあります。

鍼灸の効果を求めるなら鍼灸専門の治療院がベスト

鍼灸治療院の施術者は基本的に、はり師・きゅう師の免許しか持っていません。治療の中心は鍼灸です。

  • 施術時間はすべて鍼灸をおこなう院がほとんど
  • 鍼灸の習熟度が高い
  • 鍼灸で対応できる症状の幅が広い

鍼灸治療を受けたくて鍼灸院を選んだ場合、「期待したより鍼灸治療が少なくてがっかりした」ということは、まずないでしょう。

もし鍼灸を目的に治療院を探しているのなら、鍼灸院を選ぶのが一番です。

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