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「お灸は熱そうで怖い」|お灸の種類を知れば、初めてでも怖くない。

級の種類 はりきゅう今泉治療院
89ima

鍼灸の「灸」のお話です。鍼灸を受けた経験のない人向けの情報です。

最近の鍼灸院は、灸を治療で行うことは非常に少なくなっています。

灸は、物としても方法としても、希なものが多くなっていますが、それらも含めてご説明します。

お灸で使うもぐさの原材料は?|餅や団子にも使われるアレ

お灸を行う際には「もぐさ」という材料を使います。

さて、もぐさは何から作られているか知っていますか?

もぐさはヨモギからできています。ヨモギを乾燥させて、様々な加工を経てもぐさになります。

もぐさは、お灸の使い方によって、いくつもの等級にわけられています。

もぐさ

最も等級が高いもぐさは、葉っぱなどの邪魔な部分は取り除いてあり、このような姿をしています。

これは、ヨモギのどこの部位でできているかご存知でしょうか?

ヨモギの葉っぱには、裏側に細かい毛のようなものが生えていますが、その毛だけを集めたのが写真のもぐさです。

もぐさを皮膚の上で燃やすお灸|今はほとんどやらないので、怖がらないで

お灸を皮膚の上に直接置いて使う方法についてご説明します。

透熱灸(とうねつきゅう)

我々鍼灸師にとって、お灸の使い方の最も基本的な方法は、もぐさを皮膚に置いて火をつける「透熱灸」です。

透熱灸で使うもぐさは、余分なものを取り除いてあり、火をつけたときの火力は弱いです。

もぐさを円錐状に整えて、皮膚にのせる

もぐさを指先で数ミリ大の円錐形に整え、皮膚の上に乗せて先端に火を付けます。

透熱灸は通常、火をつけたらそのまま燃え尽きるのを待つのですが、火傷しやすいので、現在はあまりこの方法は行われていません

八分灸(はちぶきゅう)|熱さを緩和するお灸のやり方

では、どうしているのかというと、途中で指で押しつぶして火を消します。円錐状の8分目くらいで消すので「八分灸」といいます。

八分灸の場合は、一瞬だけ「チッ」という感じの熱さを感じます。火傷にはなりません。

このお灸を受ける患者さんは「一瞬ピリッとしますね」という感じです。

「熱い~、怖い~」と騒ぐようなものではありません。

灸熱緩和紙|アルミ箔で熱さを緩和する

または、灸熱緩和紙というアルミ箔でできたシールを皮膚ともぐさの間に挟んだ状態でお灸を行います。

灸熱緩和紙を皮膚に貼り付けて、艾を載せている

これを使うと灸の熱が周りに分散されて、熱さが緩和され火傷も生じません。

もぐさが台座などの上に乗っているタイプ

もぐさが台座に乗っているタイプのお灸についてご説明します。

お灸と皮膚の間を、物で隔てるので「隔物灸」といいます。

温筒灸|一般の方にもポピュラー

温筒灸

隔物灸で一番ポピュラーなものが写真のタイプです。

一般の方にとってお灸と言えば、これかもしれませんね。

商品としては「せんねん灸」が最も有名ですが、同じタイプの製品が他社からも販売されています。

台座の上にもぐさが乗っていて、台座の下はシール面になっています。

火を付けてシールを剥がし、皮膚に乗せて使います。シールで皮膚に付着するので、落ちる心配もありません。

写真のタイプは、円盤状の台座にもぐさが載っているように見えますが、実は台座の中心部に穴が空いていて、もぐさが燃えた際の輻射熱が皮膚に伝わります。

灸の火力はいくつか種類があり、一番弱いものであればほとんど火傷の心配もありません。

生姜灸|昔は家庭で行ったお灸

スライスした生姜にもぐさを載せて使う「生姜灸」という方法があります。

昔、家庭でお灸を行っていた時代は、生姜灸のような方法が行われていたらしいです。

他にも、ニンニクを使う「ニンニク灸」、味噌を使う「味噌灸」など、様々な方法があります。

食品を使うと、おいしそうな香ばしい匂いが漂います。

その他のお灸

棒灸|気持ちいいけど、煙が多いのであまり行われない

棒灸は、もぐさを固く棒状にして周囲を紙で巻いたものです。

先端に火を付けて、皮膚から数センチ程度に近づけて使います。

輻射熱でとても気持ちいいですが、煙が多く出るので、これを使う治療院は少ないです。

灸頭鍼(きゅうとうしん)|気持ちいい治療だが、煙が多いので廃れつつある

灸頭鍼は、刺した鍼の頭にお灸を載せる方法です。

※この写真ではタオルに針を刺していますが、実際は体に行います。

鍼に載せるもぐさは、予め灸頭針用として適度な大きさにまとめてある製品や、専用の金具を使って載せるものなど様々です。

私の個人的な好みでは、上でご紹介した棒灸をカッターナイフで2センチ長くらいに切って使う灸頭針です。火力が強くてとても気持ちいいです。

一見、お灸の熱が鍼を伝わりそうに見えますが、鍼が細いので伝導熱は皮膚までは届きません。

皮膚に伝わるのは、お灸の輻射熱です。

灸頭針も煙が多いので、あまり出番はありません。当院では逆子治療のときだけ使います。

電気を熱源としたお灸|煙がなく使いやすい。多くの鍼灸院が行う方法。

火を使わずに、電気を熱源にしているお灸もあります。

煙がでない、温度が安定している、後始末が不要など、非常に便利です。

多くの鍼灸院で使われています。

ここまで「熱そうで怖い」と敬遠されがちがお灸について、解説してきました。

引き続き、針灸について知りたい方は、下記の記事がおすすめです。

【更新履歴】
2023年6月11日 読みにくい漢字をひらがなに置き換えました。「艾」→「もぐさ」
2023年11月17日 このページを鍼灸ノートからここへ移動しました。

この記事を書いた人
今泉洋平
今泉洋平
はりきゅう今泉治療院 院長
1979年生れ。腰痛と椎間板ヘルニアをセルフケアで克服した経験を持っています。秋田大学工学資源学部卒業後、国際メディカルテクノロジー専門学校で鍼灸師の国家資格を取得、2009年はりきゅう今泉治療院を開業しました。患者さんのプライバシーを守りながら、痛みの少ないやさしい鍼灸治療を提供し、疲労・姿勢・老化への独自のアプローチでハリの効果を高めています。また、鍼灸妊活セミナーや美容鍼体験ワークショップなど、鍼治療の普及活動にも積極的に取り組んでいます。
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