「鍼治療は痛そう」「鍼は痛いんですか?」「注射も嫌いなのに、鍼治療なんて・・・」という方に読んで欲しい記事です。
鍼が痛くない|道具の面から
まず、鍼治療が痛くないことを道具の面からご説明します。
針の細さ
鍼治療の針は、非常に細いステンレスワイヤーから作られています。
日本のメーカーが通常販売している鍼灸の針は、0.10ミリから0.30ミリ。その中で私達がよく使うのは、0.16ミリから0.20ミリくらいのものです。
髪の毛の太さが、0.05ミリから0.15ミリと言われているので、私達が使っている針は、髪の毛より少し太い程度のものです。
また、鍼治療を受けたことがない方は、注射と比べたがります。
注射と比べて全然痛くないと説明しても分かってもらえないので、注射針の太さと比べてみましょう。
画像はこちらのページからお借りしました。
表を見ると、皮下注射は細いもので0.45ミリとなっています。鍼灸の鍼は主に0.16~0.20ミリです。
注射と鍼灸では針の太さが大分違います。鍼治療では注射よりずっと細い針を使っています。
これだけ太さが違えば、痛みも違うということを分かってもらえるでしょうか。
針の先端
針の先端は、長い歴史の中で細かく様々な形状が試されてきたようです。
現在は、痛みなくスムーズに刺入できる形として、松葉型という形が主流になっています。
さらに、近年では更に技術が進歩して、先端が微妙に丸みを帯びた形の針も作られています。
下の写真は、鍼メーカーのセイリン㈱さんの、サンプルパッケージからお借りしました。
左が新しく開発された針の先端、右が従来の針の先端です。
左の新しい針の先端がやや丸みを帯びているのがわかります。
現時点では、最も抵抗なくスムーズに刺せる形がこれです。現在でも鍼の形状は進化し続けています。
シリコン
また、鍼治療用の針には、医療用のシリコンを塗布しているものもあります。
シリコンは、注射針で使用されているものと同じく、人体に影響のないものです。
シリコンが塗布されることで、抵抗なく滑らかに刺せるため、痛みなどの余計な刺激も生じにくくなっています。
鍼は痛くない|技術の面から
次は、鍼が痛くないことについて、技術の面からご説明します。
管鍼法
鍼治療が痛くないのは「管鍼法」という技術も関係しています。
管鍼法は、鍼管という針よりも3-4ミリ短い管を使ってすばやく鍼を刺す技術です。
鍼管に鍼を入れた状態で皮膚の上に立てると、針の先端が少しでています。
この先端を指で数回叩きます。鍼はすばやく皮膚を貫通し、一瞬にして鍼管より長い分の3~4ミリ刺さります。
この方法でなぜ痛みを感じにくいのか、皮膚のつくりの面からご説明します。
皮膚のつくり
これは皮膚の断面を表した図です。
皮膚には、外部の刺激を感じ取るために様々な種類のセンサーが備わっています。
痛みを感じ取るのは主に自由神経終末というセンサーで、表皮のすぐ下に分布しています。
表皮は厚さ0.1ミリ程度なので、痛みのセンサーは深さ0.1ミリより少し深い位置にあると考えていいでしょう。
管鍼法を思い出してください。鍼を刺すときに一瞬にして3~4ミリの深さまで刺さります。
痛みセンサーの深さは0.1ミリちょっとですので、針の先端は、一瞬で痛みセンサーの位置を通過します。
鍼を刺すときに痛みを感じないのは、鍼が痛みセンサーの位置を一瞬で通過してしまうからだと考えられます。
まとめ
- 針は非常に細い金属でできている。※注射よりずっと細い
- 針の先端は、痛みが生じにくいように進化してきた。
- 最近は医療用のシリコンが塗布された針もあり、痛みが生じにくい。
- 管鍼法という技術により、針が痛みなく皮膚を通過する