
はり治療を受けたことがない方は、ハリに対して色々な不安を持っていますよね。



こういう不安があって、ハリ治療を敬遠している人も多いと思います。
「痛そう・・・」と不安を感じている人に、「痛くないよ」と言っただけでは、納得してもらえないので、一歩踏み込んで【ハリが痛くない理由】を説明してみたいと思います。
関連動画
「文字で読むより、動画のほうがわかりやすい」という方に向けて、このページと同じテーマのYouTube動画も公開しています。
1本あたり1分半~3分。全部で13分くらいです。
精密な道具が、痛くないハリ治療を支える
まず、ハリ治療が痛くないことを、【道具】の面からご説明します。
注射針よりずっと細いから「痛くない」

はり治療で使う針は、非常に細いステンレスワイヤーを材料にして、つくられています。
日本のメーカーが販売している鍼灸のハリは、一般的には0.10ミリから0.30ミリ。
その中で私達がよく使うのは、0.16ミリから0.20ミリくらいのものです。
髪の毛の太さが、0.05ミリから0.15ミリと言われているので、私達が使っている針は、髪の毛より少し太い程度のものです。
また、ハリ治療を受けたことがない方は、注射とハリ治療を同じイメージでみているようなので、注射針と比べてみましょう。
画像はこちらのページからお借りしました。
表を見ると、皮下注射は細いもので0.45ミリとなっています。
輸血は1.1ミリや1.2ミリとなっており、献血では1ミリ以上の太さの針を使うようです。
それに対して、鍼灸の鍼は主に0.16~0.20ミリです。
注射とハリ治療では、針の太さが大分違います。
鍼治療では注射よりずっと細い針を使っています。
これだけ太さが違えば、痛みも違うということを分かってもらえるでしょうか。
痛くなく刺すための針の先端形状
針の先端は、長い歴史の中で細かく様々な形状が試されてきたようです。

現在は、痛みなくスムーズに刺入できる形として、松葉型という形が主流になっています。
さらに、近年では更に技術が進歩して、先端が微妙に丸みを帯びた形の針も作られています。
下の写真は、鍼メーカーのセイリン㈱さんの、サンプルパッケージからお借りしました。
左が新しく開発された針の先端、右が従来の針の先端です。

左の針の先端は、やや丸みを帯びているのがわかります。
現時点では、最も抵抗なくスムーズに刺せる形がこれです。現在でも鍼の形状は進化し続けています。
シリコンで抵抗を減らして痛み軽減
また、鍼治療用の針には、医療用のシリコンを塗布しているものもあります。
シリコンは、注射針で使用されているものと同じく、人体に影響のないものです。
シリコンが塗布されることで、抵抗なく滑らかに刺せるため、痛みなどの余計な刺激も生じにくくなっています。
痛くなく刺す技術を持っているのが鍼灸師
ハリ治療を痛くなく行えるのは、ハリそのものだけでなく、ハリを扱う技術にも理由があります。
管鍼法によって、瞬時に皮膚を通過するので「痛くない」
鍼治療が痛くないのは「管鍼法」という技術も関係しています。
管鍼法は、鍼管という針よりも3-4ミリ短い管を使って、瞬時にハリを刺す技術です。

上の写真は、ハリを刺す前に、皮膚にハリを立てた状態と同じです。
ハリを刺す前の状態で、ハリの頭が少しでています。
ハリの頭を指で数回叩くと、ハリがすばやく皮膚を貫通して、一瞬で3~4ミリ刺さります。
この方法でなぜ痛みを感じにくいのか、皮膚のつくりの面からご説明します。
針は、皮膚の痛みセンサーを瞬時に通過するので「痛くない」
これは皮膚の断面を表した図です。

刺激を感じ取るために、皮膚には様々なセンサーが備わっています。
痛みを感じ取る「自由神経終末」というセンサーは、表皮のすぐ下に分布しています。
表皮は厚さ0.1ミリ程度なので、痛みのセンサーは深さ0.1ミリより少し深い位置です。
上で説明した管鍼法を思い出してください。ハリは一瞬で3~4ミリの深さまで刺さります。
痛みセンサーの深さは0.1ミリちょっとですので、針の先端は、一瞬で痛みセンサーの位置を通過します。
ハリを刺すときに痛みを感じないのは、ハリが痛みセンサーの位置を一瞬で通過してしまうからです。
まとめ
- 針は非常に細い金属でできている。※注射よりずっと細い
- 針の先端は、痛みが生じにくいように進化してきた。
- 最近は医療用のシリコンが塗布された針もあり、痛みが生じにくい。
- 管鍼法という技術により、針が痛みなく皮膚を通過する
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だから、ハリ治療はほとんど痛くない
痛くないことが納得できたら、
次は予約ですね。
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