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針灸が効く仕組み|血流・自律神経・痛み

針灸が効く仕組み 血流・自律神経・痛み はりきゅう今泉治療院
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ハリ治療って、ハリを刺した痛みで症状をごまかすやつ?

ハリやお灸で体がよくなるって、どーせ気のせいでしょ?

ハリ治療を受けたことがない方は、こんなふうに誤解しているかもしれませんね。
じつは、ハリやお灸について、科学的な研究が進んでいて、さまざまな効果が分かっています。

このページでは、ハリやお灸の効くしくみについて、代表的なものを選んでご紹介します。
「ハリは痛みをごまかす」「ハリでよくなるのは、気のせい」と誤解している方は、ぜひご覧下さい。

ハリとお灸によって血流が増える反応

ハリやお灸で体を刺激することで、血流が増える反応が起こります。

  • 刺激したところの血流が増える反応
  • 刺激した部位から離れたところの血流が増える反応

の2種類の反応をご説明します。

ハリや灸で刺激したところの血流が増える|軸索反射

まず、ハリや灸で刺激を与えたすぐそばで血流が増える「軸索反射」という反応があります。

  • 鍼や灸を行うと、刺激が神経に伝わります。
  • すると、神経が血管を拡張させる物質(CGRP)を放出します。
  • CGRPが血管に働いて、血管が拡張して、血流が増えます。
針で皮膚が赤くなっている様子

この反応を写真で撮影しました。

写真では、ハリの刺さっているそばの皮膚が、わずかに赤みを帯びています。(肉眼でははっきり赤くなっているのが分かったのですが、写真ではあまりはっきりしませんでした。)

皮膚が赤くなっているのは、軸索反射により周囲の血管が拡張して血流が増えているからです。

血流が増えるのは皮膚だけでなく、筋肉にハリが届くと、筋肉の血流が増えます。関節にハリが届くと、関節の血流が増えます。

はり治療によって、筋肉や関節の不具合が改善されるのは、血流が増える「軸索反射」の効果が最も大きいと考えています。

鍼を刺すと遠いところの血流が増える

鍼や灸で離れたところの血流が増える反応もあります。
この反応については、まずモルモットを使った実験をご紹介します。

  1. モルモットの後足を疲れさせて、力が弱くなった状態をつくってから、背中に鍼をします。
  2. すると、後足の筋肉の血流が増えて筋力が回復しました。

モルモットの足の筋力が回復したのは、これは「体性自律反射」という反応によって、足の筋肉の血流が増えたためであると分かっています。
このモルモットの研究は「背中への鍼」と「足の筋肉の血流」の関係だけを確認したものです。

腕に鍼をすると、首や肩の筋肉が柔らかくなる

実際の人に対するハリ治療の現場では、全身の色々な部位で、上で書いたモルモットのような反応が起こっていることが感じられます。

例えば、腕のツボに鍼を行うと、首や肩の筋肉が柔らかくなります。

また、足のツボに鍼をすると、腰の筋肉が柔らかくなります。

針で筋肉が柔らかくなる作用は、運動器疾患の施術で活用されています。

首こり・肩こり、肩関節の痛み・四十肩・五十肩、腕から手の神経痛の針灸|首~腕の症状
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ハリや灸で自律神経と内臓・器官の働きを調整する

ハリや灸の刺激が、自律神経を経由して、内臓・器官の機能を調節する反応があることも分かっています。

この反応は「消化器系」「循環器系(血圧や心拍数)」「泌尿器系」など、様々な臓器で確認されています。

消化器系

鍼灸の刺激の仕方によって、消化するための蠕動運動が「活発になる」「おだやかになる」、消化液の分泌が「増える」「減る」という反応が起こることが分かっています。

ハリや灸で胃腸の働きが変わることを利用して、消化器系の不具合に対する鍼灸治療が行われています。

消化器系の不具合、更年期の症状の鍼灸治療
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血圧や心拍数

普通は、体を刺すような鋭い刺激を与えると、心拍数や血圧は上がります。

しかし、ハリ治療の場合は、体に刺激を与えることで、心拍数や血圧が下がる反応が起こります。

泌尿器系

ハリの刺激が膀胱の収縮を抑制したり、膀胱の容量を拡大する作用があることが分かっています。

この作用を利用して、過活動膀胱や夜間頻尿など泌尿器系の鍼灸治療が行われています。

ハリで痛みをやわらげる|鍼鎮痛(はりちんつう)

鍼には「痛みをやわらげる作用」があることも分かっています。

元々ヒトの体は、すべての痛み刺激を脳で感じ取っているわけではなく、不要な痛みの刺激を遮断して、不必要な痛みを感じないようにするしくみが備わっています。

そのしくみを下降性痛覚抑制系と言いますが、鍼刺激にはこの下降性痛覚抑制系の働きを強めて、痛みをより感じにくくする作用があります。

かつて、中国ではこの作用を利用して一部の外科手術をおこなっていたそうです。「はり麻酔」とも呼ばれていました。

その他の作用

睡眠、呼吸、ストレス、ホルモン分泌、抗酸化作用、免疫に対する作用など、身体各部の働きに対する鍼灸の作用について、さまざまな報告があります。

参考文献

川喜田健司・矢野忠編:鍼灸臨床最新科学-メカニズムとエビデンス,医歯薬出版,2014

北小路博司:鍼刺激と排尿反射.鍼灸臨床の科学,医歯薬出版,503-513,2000

このページでは、針灸の効く仕組みを「血流増加」「内臓の働き調整」「痛み緩和」の3点からご説明しました。

引き続き、針灸について知りたい方は、下記の記事がおすすめです。

この記事を書いた人
今泉洋平
今泉洋平
はりきゅう今泉治療院 院長
1979年生れ。腰痛と椎間板ヘルニアをセルフケアで克服した経験を持っています。秋田大学工学資源学部卒業後、国際メディカルテクノロジー専門学校で鍼灸師の国家資格を取得、2009年はりきゅう今泉治療院を開業しました。患者さんのプライバシーを守りながら、痛みの少ないやさしい鍼灸治療を提供し、疲労・姿勢・老化への独自のアプローチでハリの効果を高めています。また、鍼灸妊活セミナーや美容鍼体験ワークショップなど、鍼治療の普及活動にも積極的に取り組んでいます。
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